<定例勉強会>
平成29年8月20日
会員50名参加のもと、8月定例会を開催しました。
1.重要無形文化財久留米絣技術者保持者 松枝哲哉・小夜子ご夫妻のお話
祖父である松枝玉記(久留米絣人間国宝)氏は従来の濃紺から薄い紺へ藍の濃淡を取り入れ、幾何学的
模様から絵柄を取り入れる。作り出された数々の作品は、久留米絣を芸術作品の域にまで高めた。
孫の哲哉氏は中学のころから玉記氏に師事し、藍染に魅せられて久留米絣制作の道へ進む。
講演の中で哲哉氏が述べられた言葉
「藍は生きている。毎日々世話をして、育てていかなければならない。作り手がどのような気持ちを
持って作っていくかで作品は変わっていく。それゆえ藍染は作り手の人間性が強く現れる。
私は薄い藍を追求する。淡い色の中でそれ以上にいかに美しい色を出せるかにかけている。」
その他に◎久留米絣の制作工程 ◎我が国における藍染の歴史 ◎近年の藍研究(薬学的効用,藍菌
のDNA)など多岐にわたって所々で小夜子氏のお話を交えながら詳細な説明があった。更にkimono
プロジェクトで担当される “キリバスの振袖” の図案を熱心に話された。
2.一般社団法人イマジン・ワンワールド代表理事 高倉慶応氏(蝶屋社長)のお話
高倉慶応氏は2020年の東京オリンピックにおいて着用される世界各国を表現した着物を作ることを発案し、
イマジン・ワンワールドを設立された方である。その活動は久留米と東京に拠点を置き、これまでに196か国中57か国の着物が完成している。
講演のなかで高倉氏が述べられた言葉
「外国の着物を作るにあたっては、自国の文化の押し付けにならぬように相手国の文化を着物のどこかに取り入れる
という心をもって作り上げていきたい。」
「イマジン・ワンワールドとは日本人の力で世界を一つにする着物を作ろうという思いである。」
「東京オリンピックにおいて、外国の方に各国のモチーフを取り入れた美しい着物で、我が国の文化を紹介するのは
有意義なことである。一方で、伝統工芸技術の後継者不足、国民の良いものを良いと見分ける力が失われていく
なか、このまま日本の着物文化を消失させてよいのかという問題を私たち一人一人が真剣に考える時がきている。」
と最後に述べられた言葉が深く心に残った。
3.イマジン・ワンワールド オリンピックきもの 8か国の展示(抜粋)
|
|
|
|
|
上段左:イタリアの着物 上段中央:肩にダ・ヴィンチのヘリコプター 上段右:袖裏にミケランジェロ
下段左:ツバルの着物 下段右:着物についての説明文